鉄道車両を作る流れについて説明したいと思います。
・鉄道事業者が新造する車両について計画する。
まず、どのような車両を新造するかを事業者で計画します。
車輛のコンセプト、どの路線を走る、何両必要、いつ投入するかなどの計画をします。
それを基に設計会議も合わせて行う。走行速度、定員、デザインなど
詳細な設計は車両メーカーで行うので仕様だけ決めていきます。
・鉄道事業者が鉄道車両メーカーに発注する。
その後鉄道事業者が鉄道車両の発注します。
受注したら詳細な仕様を事業者と決めていき仕様が決まったら設計を進める。
・車両の設計
設計する際は図面を描いていきますがCADと呼ばれるパソコン上で描写できるソフトを用いて
図面を作成します。
設計が進んだら製造、資材、品質保証など関係部署を集めてデザインレビューをします。
要望、問題点があったら場合によっては設計変更する。
・材料、部品手配
設計が固まったら、製造に必要な材料、部品を資材、調達部署が手配します。
内装品、電気部品、機器部品も鉄道車両メーカーでは製造できないので
専門の部品メーカーへ手配します。
・製造(構体組立、塗装、艤装、台車製作)
構体を構成する台枠、側構体、妻構体、先頭車輌の顔と言える先頭構体、屋根構体をそれぞれの工場で組み立てた後、
これらを組み合わせ構体を制作。
その後、塗装をして内装、機器、電線をとりつける艤装工程を経て車体が完成
車体を制作する一方で車両を走行するのに必要な台車も工場で製造します。
台車については車両と一緒に車両メーカーで製造する事もあれば
日本製鉄で製造したものを購入(支給)する事があります。
先にフレームとなる台車枠を制作。そこから、焼き入れ、機会加工、塗装をした後、モーター、車輪、電装作業して台車を完成します。
・検査工程
車体と台車を完成した後、車体に台車を搭載して、走行試験や機能試験などの検査作業を行います。
・出荷
検査完了後、鉄道事業者へ出荷します。
出荷の方法として
甲種輸送とトレーラーによる陸送、海上輸送、があります。
甲種輸送
鉄道車両メーカーの工場は鉄道事業者の沿線につながる線路が敷かれてます。
(例:日本車両→JR飯田線、近畿車輛→JR学研都市線)
その線路に出荷する車両を編成し、その車両をJR貨物の機関車でけん引して
鉄道事業者の車両基地まで送るというもの。この場合の出荷する車両は貨物列車扱いになります。
陸送
トレーラーで車両をけん引して公道を走行して車両基地まで送り届けるものです。
具体的には車体には公道を走行できるタイヤ付きの専用台車を履かせてトレーラーでけん引する方式です。
特殊な形態での走行故、走行速度が20km/h程度に制限され、遅いため、深夜に陸送される事がほとんどです。
全長20m近くある車体をけん引して道路を走る必要があるため、どの道路をどの時間帯に走れば
無事に目的地へたどり着けるが綿密な調査、計画を行う必要があります。
海上輸送
名前から想像できるように船に車両を載せて輸送する手段です。
船のある港まではトレーラーによる陸送で車両を輸送します。
その後船内に車両を搭載し、車両基地近くの港まで海上輸送します。
港に着いた後も、トレーラーに車両を載せ替えて車両基地まで輸送します。
この手段がよく見られるのは新幹線、海外向けの車両が多いです。
(海外向けは海上輸送は必須です)
車両基地に送り届けた後、事業者で試運転を実施、営業運転に投入されます。
鉄道車両の作り方は大雑把にまとめると以上になります。
今後はこれらの内容をより具体的に話したいと思います。